夢の景色が、現実のようにはっきり見える。夢の中でも頭が冴え、何をするつもりだったか思い出せる。そして、自分の意思で夢の展開を変えられる。明晰夢の面白さは、夢だと気づいた後に、その世界で自由に遊べることにあります。空を自由に飛んだり、かめはめ波を撃ったりと、現実ではできないことを体験できるのが明晰夢の大きな魅力です。
ガランタミンの研究では、明晰夢を見た人の割合に加え、夢の鮮明さ、思考、記憶、夢を操る力なども調べられています。この記事では、ガランタミンを使用することで、夢の中での体験にどのような変化が報告されたのか、実際の研究結果を詳しく紹介します。
なお、このサイトは、サプリメントや薬の購入・使用を勧めるものではありません。明晰夢を目的とした自己判断での使用は、すべて自己責任で行ってください。 使用を考える場合は、事前に医師や薬剤師に相談してください。
ガランタミンの効果は、どうやって調べた?
2018年のラバージ博士らの研究では、121人から計485件の夢が報告されました。参加者は目覚めた後に、夢だと気づいていたかを報告し、夢のさまざまな特徴を0~4の5段階で評価しました。
この実験では、参加者全員が二度寝法(WBTB)とMILD法を行いました。そのうえで、同じ人がガランタミン0mg(プラセボ)、4mg、8mgの3つの条件をそれぞれ経験し、夢の体験にどのような違いが出るのかを比較しました。また、参加者と実験者の両方に、その夜がどの条件なのかを知らせず、期待や思い込みの影響を抑える工夫もしました。
評価したのは、夢の鮮明さ、思考の明瞭さ、感情、夢の奇妙さ、複雑さ、自分の考えや気持ちを振り返る能力、夢を操る力などです。目覚めた後に、夢の内容をどれほど思い出せたかも記録しました。
例えば、夢の街を歩いていたとします。景色や音がどれほどはっきりしていたかは「鮮明さ」、夢の中で起こる出来事がどれほど入り組んでいたかは「複雑さ」、次に何をするかをはっきり考えられたかは「思考」に関わります。また、自分の意思で街の景色や夢の展開を変えられたかという「夢を操る力」も評価の対象です。
つまり、この研究では、明晰夢を見たかどうかだけでなく、夢の中でどのような体験ができたのかも詳しく調べたのです。
ガランタミンで、明晰夢を見る確率はどう変わった?
まず、ガランタミンの量によって、明晰夢の報告件数がどう変わったのかを見てみましょう。
| 実験条件 | 明晰夢の件数 | 明晰夢を見た人の割合 |
|---|---|---|
| 通常時(研究者による推定) | ― | 約4% |
| プラセボ(0mg) | 18件 | 14% |
| ガランタミン4mg | 37件 | 27% |
| ガランタミン8mg | 62件 | 42% |
通常時の約4%は、ラバージ博士らが参加者の過去6か月間の明晰夢の頻度から推定した数字です。プラセボ条件では14%となり、通常時の約3.5倍でした。ラバージ博士は著書の中で、明晰夢の実験では「今日は明晰夢が見られるかもしれない!」という期待が、明晰夢を見る確率に強く影響すると述べています。
さらに、ガランタミンを使用した条件では、明晰夢を見た人の割合が4mgで27%、8mgで42%となり、使用量が多い8mgの方が、明晰夢を見る確率が高いという結果になりました。
ガランタミンで、夢の鮮明さや複雑さはどう変わった?
では、夢の中での体験はどう変わったのでしょうか。ガランタミン4mgと8mgでは、プラセボよりも夢の鮮明さと複雑さが高く評価されました。 さらに8mgでは、夢の奇妙さも高くなっています。
ガランタミン0mg(プラセボ)、4mg、8mgの3つの条件を比較した結果は、次のとおりです。

このグラフは、夢の鮮明さと複雑さを0~4の5段階で評価した平均点です。灰色は普通の夢、緑色は明晰夢です。条件Aはガランタミン4mg、条件Bは8mgを使用した場合です。
| 評価した項目 | 研究結果 |
|---|---|
| 感覚の鮮明さ | 4mgと8mgの両方で、プラセボより高い |
| 夢の環境の複雑さ | 4mgと8mgの両方で、プラセボより高い |
| 夢の奇妙さ | 8mgで、プラセボより高い |
ここで興味深いのは、ガランタミンの量を増やしても、夢の鮮明さや複雑さがさらに高まるとは限らないことです。明晰夢を見た人の割合は、4mgより8mgの条件で高くなりました。しかし、夢の鮮明さや複雑さなどの評価項目では、4mgと8mgの間に統計的に有意な差は確認されませんでした。
つまり、明晰夢を見やすくなることと、夢の中での体験がより鮮明になることは、必ずしも同じではないのです。
ガランタミンで、夢を操る力も高まったのか?
ガランタミンを使用した条件では、明晰夢を見る確率が高まり、夢の鮮明さや複雑さにも変化がありました。では、明晰夢の中で、空を飛んだり、景色を変えたりする「夢を操る力」も高まったのでしょうか?
ラバージ博士らは、明晰夢の記録だけを取り出し、プラセボ、ガランタミン4mg、8mgの条件で、思考の明瞭さや夢を操る力を比較しました。

グラフは、思考の明瞭さと夢を操る力を0~4の5段階で評価した平均点です。数字が大きいほど、頭が冴えていたり、夢を自由に操れたりしたことを表します。条件Aはガランタミン4mg、条件Bは8mgを使用した場合です。
比較した結果、明晰夢中の思考の明瞭さや夢を操る力などには、条件間で統計的に有意な差は確認されませんでした。つまり、ガランタミンによって明晰夢に入りやすくなっても、その中で夢を自由に操る力まで高まることは、この研究では確認されなかったのです。
目覚めた後、夢をどれくらい覚えているか?
夢の中でどれほど素晴らしい体験をしても、目覚めた後に忘れてしまっては、その体験を振り返ることができません。
ラバージ博士らの研究では、参加者が目覚めた後、夢の内容をどれほど思い出せたかを0~4の5段階で評価しました。その結果、ガランタミン4mgと8mgのどちらの条件でも、プラセボより夢をよく思い出せることが分かりました。

このグラフは、プラセボと比べて、夢を思い出せた度合いがどれくらい高かったかを示しています。数字は統計解析によって推定された差(回帰係数)で、数字が大きいほど、プラセボよりも夢をよく思い出せたことを意味します。
つまり、ガランタミンは、夢の鮮明さや複雑さだけでなく、目覚めた後に夢の内容を思い出せる度合いにも影響していたのです。
明晰夢に入ることから、夢の世界をもっと楽しむことへ
ガランタミンを二度寝法(WBTB)とMILD法に組み合わせた研究では、明晰夢を見る確率が高まり、夢の鮮明さや複雑さ、目覚めた後に夢を思い出せる度合いにも変化が見られました。しかし、明晰夢になった後の「夢を操る力」まで高まることは確認されませんでした。
明晰夢に入りやすくすることと、その中で自由に遊び、夢を思いどおりに操ることは、別の課題なのです。
この違いを踏まえると、成分を組み合わせる際には、それぞれがどのような役割を持つのかを理解することが大切です。このカテゴリでは、ガランタミンとコリン塩を組み合わせた基本モデルを中心に紹介します。ガランタミンがアセチルコリンの分解を抑え、コリン塩がその材料を補う。まずは、この二つを組み合わせる理由から説明します。ただし、成分だけで明晰夢が見られるわけではありません。十分な睡眠を取り、夢の中で何をしたいかを意識し、再び眠りにつく。こうした睡眠の準備も含めて、基本モデルの仕組みを詳しく見ていきます。
さらに、明晰夢を長く楽しみたい、音や音楽を鮮明に聞きたい、夢の中でも頭を冴えさせたい。こうした目的に合わせて、基本モデルにほかの成分を加えた組み合わせも紹介します。
参考文献・一次資料
- LaBerge, S., LaMarca, K., & Baird, B. (2018). “Pre-Sleep Treatment with Galantamine Stimulates Lucid Dreaming: A Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study.” PLOS ONE, 13(8), e0201246. 論文全文
- LaBerge, S., LaMarca, K., & Baird, B. (2018). “Pre-Sleep Treatment with Galantamine Stimulates Lucid Dreaming: A Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study.” Open Science Framework. 公開研究データ
