今回は、変性意識状態を作るために役に立つ特殊音源を紹介します。

脳の神経細胞から出る微弱な電気活動を波形として記録したものを脳波と言います。人間の脳波は、周波数によってデルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波に分類され、意識の状態によって波形が変化します。

脳波周波数帯域意識状態
デルタ波4Hz以下深い眠り、無意識の状態
シータ波4-7Hz浅い眠り、深い瞑想状態
アルファ波8-15Hzリラックス状態
ベータ波16-32Hz日中の活動状態
ガンマ波32Hz以上興奮、知覚や意識
人間の脳波

最も低い周波数であるデルタ波は、無意識の状態(深い眠り)の時に出ています。シータ波は浅い眠り、深い瞑想状態など、まどろみの状態で、潜在意識の状態と言われています。アルファ波は心身ともにリラックスしている状態で、心身のストレス軽減に重要な役割を果たします。日中の活動状態において主に出ているのがベータ波です。ベータ波は特に注意や警戒、心配などをしている時に発生します。もっとも高い周波数であるガンマ波はワーキングメモリや学習において重要な役目を果たします。幸福を感じている時にもガンマ波は出ており「天然の抗うつ剤」と称されることもあります。

夢の中に意識を覚醒させたまま入っていく技術である「体外離脱」は、レム睡眠状態(浅い睡眠状態)を作り出してから行います。ですのでこの時、脳波はシータ波が強く出ている状態です。このシータ波に脳波を無理やり同調させる特殊な音源があります。この特殊な音をヘッドホンやイヤホンで聞くことによって、体外離脱が起こるときの脳波に簡単にたどり着くことができます。

脳波がたどり着くだけなので、自動的に体外離脱が発生するわけではありませんが、音源で脳波をシータ波に同調させながら、呼吸法や瞑想をすることで、変性意識状態に移行する時間が短くなり、金縛りが発生するような深い変性意識状態に到達しやすくなります。

バイノーラル・ビートについて

バイノーラルビートの基本原理は、右の耳と左の耳からそれぞれ違う周波数の音を聞かせて、脳波を特定の周波数に誘導するというものです。両耳に別々の周波数の音が入ると、脳はその違いを何とか調和させようとして2つの周波数の差を作り出します。

例えば、右耳に100Hz、左耳に105Hzの音を聞かせます。すると、その2つの周波数差である5Hzの周波数が脳幹という部位で発生し、その結果、脳全体が自動的に5Hzの脳波に誘導されます。この仕組みは1839年にドイツの物理学者ハインリッヒ・ヴィルヘルム・ドーヴェ博士によって発見されました。1839年ですから、原理自体はかなり昔からあったものとなります。

現在市販されているほとんどのバイノーラルビートは、深い変性意識状態の脳波であるシータ波に脳波を同調させるように調整されているため、基本的にどれを選んでも効果がありますが、実際に試してみたオススメ順に紹介します。

ヘミシンク

ヘミシンクはモンロー研究所という、意識の探究や体外離脱の研究をしている機関が開発した、特殊音響ガイダンスです。ヘミシンクは特殊音響ガイダンスなので、特殊音響だけではなく、特定の変性意識状態へ導くための手引き(説明の音声)がついています。

ヘミシンクにはたくさんのバリエーションがありますが、体外離脱用にチューニングされたヘミシンク音源、体外離脱テクニック(Out-of-Body Techniques)は、他のどんなツールよりも効果が高いと感じています。

英語版もあるためご注意ください。英語版は体外離脱のガイダンスが英語で入っていますので、通常は日本語版を購入すると良いでしょう。

金縛り(かなしばり)の恐怖を克服する方法で紹介した「エネルギー変換ボックス」はヘミシンクのゲートウェイ・エクスペリエンスという音声ガイダンスの第1巻「ディスカバリー」に出てきます。

ヘミシンクは新しいものがどんどん出ていますが、基本となるものがゲートウェイ・エクスペリエンスです。ゲートウェイ・エクスペリエンスは7巻セット(CD 21枚、42エクササイズ)で、全部買うと4万円以上します。私は全て試しましたが、明晰夢を見ることが目的であれば全て購入する必要はありません。

明晰夢を体験したいと本気で思っている方は、体外への旅(Support for Journeys Out of the Body)を購入しましょう。正直これだけでよいと思っていますが、金縛りが怖くて怖くて体外離脱に挑戦できないという方は、ゲートウェイ・エクスペリエンス第1巻ディスカバリーも試してみましょう。

i-doser

i-doserは耳で聞くサイバー麻薬として有名になった特殊音源です。こちらもヘミシンクと同様、バイノーラルビートで作られていますが、ヘミシンクとは異なり音声ガイダンスは付いていません。ヘミシンクはザーっというノイズに近い音ですが、i-doserは曲になっています。音楽が好きな方はこちらを選ばれると良いかも知れません。オフィシャルサイトで購入することができますが、iTunesやamazon Musicでも1曲ずつ購入することができます。

明晰夢に効くオススメのアルバムはこちらです。

gnomad

自分でバイノーラル・ビートを作ることが出来るBrainWave Generatorというフリーソフトがあります。このソフトを使って作られた無料のバイノーラルビートを公開しているサイトがあります。

boxed nirvana II
inner voice

無料ですし、効果もバッチリ。まずは上記2つを試してみてはいかがでしょうか。

リンク

おべぱるす(Out of the Body Experience leading PULSE sound)

おべぱるすはバイノーラルビートではなく「大脳の周波数同調現象」を利用した脳波誘導サウンドです。脳は一定リズムの刺激を受け続けると、そのリズムに脳波が同調するという性質も持っており、おべぱるすはその技術で作られた無料の特殊音源です。1秒間に4〜7回の非常に単純なパルス音ですが、これで体外離脱に成功したという方は多いため、こちらも紹介します。

おべぱるすのサイトにはMIDIファイルという演奏情報ファイルしかおいていないので、スマホなどで聞くには専用のソフトが必要です。パソコンでwavファイルやmp3ファイルなどに変換すると扱いやすくなりますので、ご自身で変換ください。

バイノーラルビートの注意点・コツ

1.イヤホン・ヘッドホンで聞く
特殊音源を聞く時の注意事項です。バイノーラル・ビートもおべぱるすもスピーカー再生では効果を発揮することができません。必ず、イヤホン・ヘッドフォンを使用してお聞きください。

おすすめのヘッドフォンはfinal E2000です。イヤホンピースが小さく、軽く、柔らかいだけではなく、独自のスイングフィット機構により耳道の傾きにジャストフィットするため、イヤホンを装着していることを忘れるぐらいの優しい付け心地です。音質面も大変良いです。バイノーラルビートやASMRなどの「空間を感じる」立体的な音源に強く、かなりの臨場感があります。「声」が主体の音源を聴くときには、その位置や吐息まで感じることができるリアルな音質です。

2.小さな音量で聞く
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな音量でお聞きください。体外離脱の入り口は、覚醒と眠りの狭間にあります。リラックスして眠りに落ちていく必要があります。大きい音だと眠りに落ちていきません。

3.音源をローテーションする
脳には同じ刺激に慣れてしまうという性質があります。ですので同じ音源を毎日使い続ければ、効果は薄くなってしまいます。これらの音源を上手くローテーションして使うことをお勧めします。

音源を聞く時のコツ

音源を聞く時のコツですが、耳で聞くのではなく、脳内で発生する振動を感じ取り、その振動を拡げるようにして聞いてください。テキストだけでは意味がわからないと思いますが、一度バイノーラルビートやおべぱるすをリラックスした状態で聞くと振動を感じ拡げるという意味が分かると思います。無料のものから試してください。

これらの特殊音源はあくまでも補助ツールです。ただ聞いただけでは、体外離脱ができるようにはなりません。体外離脱を達成するためには、これまでにご説明した訓練が必須です。この音源を聞きながら、自律訓練丹田腹式呼吸マインドフルネス瞑想アクティブイマジネーションを試してください。

上記の訓練は必須ですが、これらの音源は初心者が変性意識状態や体外離脱の感覚を掴むためにも、上級者が素早く深い変性意識状態を作るためにも大変有用です。