ノルアドレナリン(Noradrenaline)とは
ノルアドレナリン(=ノルエピネフリン)は、注意力、集中力、判断力に重要な役割を担っています。またストレスを感じたときに分泌され、怒り、恐怖、不安などの感情を高めます。本能的に心身を興奮状態にするスイッチのような働きをしており、分泌が過剰になると、心拍数や呼吸数が増加し、攻撃的になったり、ヒステリーを起こしたり、パニックになったりします。
ノルアドレナリンは脳内で分泌・貯蔵されますが、脳内の分泌量がある一定の量を超えると、脳から血液中に放出され全身に運ばれていきます。ノルアドレナリンが血流に入ると闘争・逃走反応(戦うか逃げるか反応とも呼ばれており、極度の危機に遭遇したときに、その危機と対決するか、その場から逃げるかという自律神経のはたらき)を引き起こす物質として働きます。
ノルアドレナリンと睡眠
ノルアドレナリンは、ノンレム睡眠(深い眠り)のときに減少し、レム睡眠(浅い眠り)のときにはほとんど消失します。そして睡眠覚醒時(目が覚めたとき)に分泌されます。通常ノルアドレナリンは睡眠中ではなく覚醒時にのみはたらくため、通常の睡眠には邪魔になる神経伝達物質です。
例えば、ナルコレプシーという睡眠障害や、うつ病などの治療に用いられる中枢神経興奮剤で、一般的な使用は禁止されているd-アンフェタミンは、脳内に大量のノルアドレナリンを分泌するため、眠りにつくことが非常に困難になります。
ノルアドレナリンと明晰夢
ノルアドレナリンは睡眠中ではなく、主に覚醒時にはたらくため、前述した他の3種類の神経伝達物質(セロトニン、アセチルコリン、ドーパミン)に比べて、夢を見ることとの関連性は低いと考えられています。
しかし、通常のレム睡眠では、ほとんど消失しているノルアドレナリンを適切な量(ほんの少しだけ)分泌させることで、脳を明晰夢が発生する特殊な状態にすることができます。
ノルアドレナリンには夢の中で意識がはっきりした状態をつくり、維持するはたらきがあります。さらに夢の中で集中力と注意力を維持し、起きているときの生活や記憶を思い出す能力を大きく向上させてくれます。これにより起きているときに「明晰夢でやりたい」と思っていたことを実行しやすくします。
ノルアドレナリンとサプリメント
ノルアドレナリンはドーパミンの前駆体であるため、ドーパミンを増やすサプリを摂ることで、脳内で生成され自動的に増えます。
ドーパミンのレベルに影響を与えずにノルアドレナリンだけのレベルを上げることができるサプリメントには、ヨヒンビンがあります。ヨヒンビンを極めて少量のみ摂取することは、明晰夢に大変効果があるという報告があります。
ヨヒンビンは中央アフリカにある植物ヨヒンベから発見された成分で、ボディビルダーなどのいかつい筋トレ愛好者がトレーニング前に飲むサプリに含まれていたり、勃起不全サプリなどに使用されている成分ですが、神経興奮、震え、不安、心拍数の増加、動悸、血圧上昇、吐き気などの副作用も報告されており、取り扱いには注意が必要です。