眠っているときは、目を閉じ、口もきかず、体はほとんど麻痺状態になっているため、完全に休憩しているように見えますが、脳は絶え間ない活動を続けています。睡眠中も、脳のニューロン(神経細胞)は覚醒時とほぼ同じ頻度で発火し、ほぼ同程度のエネルギーを消費していることがわかっています。ただし、睡眠中に活発になる脳領域、不活発となる脳領域は、起きているときとは異なっており、眠りに入ることで脳の活動内容は変化します。

体外離脱で夢の中に入るためには、覚醒と眠りの狭間で変性意識状態を保ち、体外離脱の前兆を待つ必要があります。そのため、脳機能の切り替えがじわじわ起こり、感覚のバグが発生します。代表的なものが、幻聴や幻覚、そして金縛りです。

金縛りに対する恐怖

幻聴や幻覚、金縛りに怖がってしまうと、脳が緊張状態になってしまいます。自律神経がリラックス状態である副交感神経から交感神経に切り替わり、体外離脱を達成するための変性意識状態から一気に冷めてしまいます。体外離脱で夢の中に入るためには、驚いたり怖がったりしてはいけないのです。

私の場合、体外離脱にチャレンジするときに金縛りに対する恐怖心が高いハードルになりました。「金縛りは夢をみている状態である。頭の中だけで起こっている現象である。」金縛りを生理学的に理解していましたが、金縛りが怖いという感情に抗うことはできませんでした。子どもの頃からなんとなく金縛りが怖かったのです。理由は説明できませんが、怖いものは怖い。本能的に怖いので、どんなに理論武装しても逃れられませんでした。

体外離脱に到達するためには金縛りが必要です。しかしながら、金縛りの前兆である入眠前の幻聴、幻覚に恐怖を感じていると体外離脱どころではありません。体外離脱をするということは、夢を見るために意識を保ったまま眠りに落ちるということなので、リラックスすることが何よりも重要なのです。

体外離脱前の金縛りの前兆で幽霊が見えたという人もいます。手を掴まれた感覚があったという人もいます。こういう現象が起こっても恐怖を感じていてはいけないのです。おばけや幽霊が怖い私はこれを克服できないために、体外離脱に挑戦することができずにいました。

ヘミシンクのエネルギー変換ボックス

この恐怖心を無くすために、エネルギー変換ボックスというテクニックを使うことができます。

モンロー研究所という体外離脱の研究をしているアメリカの機関が開発したヘミシンクという特殊音響技術があります。ヘミシンクは脳波をシータ波に誘導し、体外離脱を誘発しやすくするというもので、エネルギー変換ボックスはヘミシンクの重要な基礎テクニックです。体外離脱に邪魔になる心配事や雑念を取り除き、自分の感情をコントロールするために自己催眠を利用します。

以下、エネルギー変換ボックスのやり方です。

  1. 頑丈な箱をイメージ

    とても頑丈そうな箱をイメージします。はじめはイメージするのが難しいので映像で思い浮かばなくても大丈夫です。「頑丈な箱を自分の頭の中に作ってみる」と考えるだけでいいです。繰り返しているうちに、頭に映像が浮かんでくるようになります。イメージする頑丈な箱は金庫でも、スーツケースでもなんでも良いです。自分がイメージしやすいものにしてください。

    私は、海賊映画にでてくるような宝箱をイメージしていました。

  2. 恐怖のイメージをシンボル化

    体外離脱を発生させるためにマイナスになると思うものをシンボル化します。今回シンボル化するものは「金縛りに対する恐怖心」です。恐怖心をわかりやすい物にシンボル化します。

    私は、恐怖心を青いボールにシンボル化していました。

  3. シンボル化したものを箱に入れるイメージ

    このシンボル化したものを、はじめにイメージした頑丈な箱に入れます。箱に入れたら、フタをして鍵をかけることをイメージしてください。

    私は、恐怖心をシンボル化した青いボールを頑丈な宝箱にいれ、重い蓋をして、大きい南京錠をかけることをイメージしていました。

  4. 箱から遠くに離れるイメージ

    最後にこの箱からできるだけ遠くに離れるイメージをします。ヘミシンクでは「箱に蓋をしたら、素早くそこから離れましょう。」と説明しています。箱から遠く離れることが重要です。

    私は、青いボールをいれた頑丈な宝箱を、でっかい大砲に装填して、空中に向けて打ちこむことをイメージしていました。私の場合、単に面白そうだからという理由で、宝箱を大砲に装填し、空に向けて発射していました。これだと問答無用で自分と宝箱の距離が一気に離れます。

私は、恐怖心を入れた宝箱を空中に打ち込むという、ばかばかしい事をイメージすることで、金縛りの恐怖心を徐々に薄めることができました。そして体外離脱の経験により、金縛りに対する恐怖心は完全に無くなりました。金縛りに恐怖を感じている方は、はじめの一歩を踏み出すために、このテクニックを使ってみてください。エネルギー変換ボックスは、とてもシンプルな自己催眠ですが、絶大な効果があります。

体外離脱を経由した明晰夢に挑戦するときは布団で寝て、目を瞑って一番初めにエネルギー変換ボックスをやってください。自己催眠は回数を重ねるごとに効果が高まっていくので、一回のチャレンジで恐怖を取り除けなかったとしても続けてください。何度もやっていれば潜在意識に刷り込まれていき、だんだんと恐怖が取り除かれていきます。

エネルギー変換ボックスに入れるものは恐怖だけではありません。仕事の悩み、人間関係の悩み、宿題など「体外離脱に邪魔になる心配事や雑念を入れておく」というのがヘミシンクでの本来の使い方です。私の場合、邪魔になるものは金縛り前の不安な気持ち、恐怖心しかなかったので恐怖心の除去しかしていません。また、私は青いボールや宝箱を使いましたが、自己催眠には絶対的なやり方というものはありません。方法は人それぞれです。自分が想像しやすいものにアレンジしてやってください。

ヘミシンクでのエネルギー変換ボックスでは、この箱に入れたシンボルを、一度取り出して、水の中の泡が水面に浮かんでいくイメージで「恐怖心を上昇させて遠ざける」というさらなる工程を踏みます。また本来のエネルギー変換ボックスは、ヘミシンク(バイノーラルビートという特殊音源)を聞きながら行ないます。オリジナルのエネルギー変換ボックスはヘミシンクのゲートウェイ・エクスペリエンスシリーズの第1巻「ディスカバリー」に入っています。興味がある方はオリジナルをお試しください。