ドーパミン(Dopamine)とは

ドーパミンは学習、意欲、喜び、快楽に関与しており、刺激的で気持ちが良くなるはたらきがあります。頑張って結果を出したときの達成感や満足感をもたらす「報酬系」における中心的なはたらきをしており、モチベーションアップにも非常に重要な要因となります。

ドーパミンの分泌量が増えると、楽観的で幸福な気分になり、自信が増し、おしゃべりになり、ひらめきや創造性が増します。ドーパミンの分泌量が減ってくると、疲れやすくなったり、忘れっぽくなったり、やる気がなくなったり、自尊心が損なわれたり、性欲が減退したりします。

ドーパミン分泌量のバランスが崩れることで起こる精神疾患があります。例えば、パーキンソン病やうつ病で、これらは脳内のドーパミン不足が関連していることが分かっています。またドーパミンは多すぎても問題になり、統合失調症はドーパミンが過度に分泌されることが原因と考えられています。

ドーパミンの分泌量は加齢とともに減少することがわかっています。脳内のドーパミン量は40歳半ばまでは一定ですが、その後は10年ごとに約4~13%程度減少していきます。前述したパーキンソン病は高齢で発症することが多く、60歳以上になると100人に1人がかかるといわれています。また若い人が性欲やその他の欲望を強く持っているのに比べ、歳をとるとそういった欲が薄れるのもドーパミンの減少が原因と言われています。

ドーパミンと睡眠

脳内のドーパミン濃度によって、起きているときの覚醒レベルが制御されていることは分かっていますが、睡眠サイクルに与える大きな影響はないと考えられています。

ドーパミンと明晰夢

ドーパミンの前駆体であるレボドパは、パーキンソン病治療として使われています。この薬を夜の時間帯に患者に投与し、睡眠時のドーパミン量を増やすと、レム睡眠の長さや頻度は変わらずに、夢を見る頻度と夢の鮮明さのみが劇的に向上するということが、数々の臨床試験で明らかになりました。

ドーパミンがレム睡眠には影響を与えず、夢にのみ影響を与えるという結果は、夢の研究者が信じていた理論に大きな変化を起こしました。現在では、レム睡眠が夢を見るために必要だとは考えられていません。詳しくは夢を見るために鍵となる神経伝達物質をご覧ください。

ドーパミンは明晰夢を引起すトリガーとしての役割は持ちません。しかしドーパミンは、夢の頻度と夢の長さ、そして夢が明晰夢に変わった際に、その夢をコントロールする能力に影響を与えます。

明晰夢の中では、自分がやりたいことが何でもできます。明晰夢を繰り返しているうちに、想像力が鍛えられていき「夢の中で出来ること」が増えていきます。しかし「空を飛びながら『かめはめ波』で山をふっとばす」というような、現実では絶対に出来ないことは、夢の中であっても実行が大変難しいのです。通常は、まず難易度の低いことから挑戦し「夢の中で出来ること」を少しずつ増やしていくというステップが必要です。

しかし、脳内のドーパミンレベルが高ければ、夢の中でも自信があふれ怖いものがないという状態になるため、上記のような現実では不可能なことでも簡単に達成できます。またドーパミンレベルが高い状態で明晰夢を見たあとの目覚めは大変心地よく、夢の余韻にひたることができ、自信満々でやる気に満ちあふれていることが多いです。

ドーパミンとサプリメント

口から摂取されたドーパミンは血液脳関門を通ることはできませんが、ドーパミン前駆体であるチロシン、レボドパは血液脳関門を通過します。明晰夢を見るためには、ドーパミンの直接的な前駆体であるレボドパのサプリメントの方がより効率的です。

レボドパのサプリメントには2種類あり、パーキンソン病の治療薬として販売されている化学的に精製されたものと、八升豆というムクナ豆の一種にから採れる自然由来のものです。