「サプリメントを服用することで、各神経伝達物質レベルをコントロールし、明晰夢を見やすい脳の状態にする」ために、知っておくべき基礎知識をまとめました。
神経細胞(ニューロン)と神経伝達物質
私たちは、視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚などの「感覚」を使って情報を集め、データとして脳にインプットします。脳はそのデータを処理、保存し、なんらかの形でアウトプットします。人間の脳内では、何百万も存在する神経細胞(ニューロン)で形成されるネットワークに、非常に小さな電気信号が伝わっていくことで、思考や認識といった処理が行われ、体の反応や行動として出力されます。その際、神経伝達物質と呼ばれる特別な化学物質を放出することで電気信号をコントロールしています。
神経伝達物質は、脳内に存在する化学物質で、神経細胞から別の神経細胞にメッセージを送る役割を担っています。神経細胞と神経伝達物質の役割を電気回路に例えるなら、神経細胞が銅線で、神経伝達物質がどの銅線に電気を流すかコントロールするためのスイッチです。
これらの神経伝達は、脳内の特定の部分を活性化させたり、逆に非活性化させたりすることで、脳や体のバランスをコントロールしています。また、神経伝達物質は精神状態のコントロールにも大切な役目を果たしており、感情の刺激には脳内の神経伝達物質の分泌量が影響しています。
脳内の神経伝達物質は、口から入ったもの(食べたもの・飲んだもの)の影響を受けるため、神経伝達物質に影響を与える薬をうまく活用することで、アルツハイマー、うつ病、統合失調症などの、精神病の治療に役立てています。
夢と神経伝達物質
脳はこれら神経伝達物質を産生、放出することで、眠る、夢を見る、目覚めるなどの睡眠サイクルや夢見を操作しています。
明晰夢を発生させるために重要な4つの神経伝達物質は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アセチルコリンです。
サプリメントを飲むことで、これらの神経伝達物質をコントロールし、明晰夢を見ることは可能ですが、適切な量を超える使用は意味がありません。また、神経伝達物質に影響を与える薬やサプリメントを過度に摂取すると脳内のバランスが乱れ、健康に悪影響を与えてしまいます。
血漿中濃度
血漿中濃度(けっしょうちゅう)とは、投与した薬物の血液中の濃度のことです。
サプリメントは、口から摂取した後、胃、腸を通って血液中に入ります。一般的に、血中のサプリメント濃度はゼロ(服用直後)から始まり、一定時間後に徐々に最大濃度まで上昇し、その後ゼロに向かって減少していきます。血漿中濃度がピークに達するまでの時間とは、錠剤を飲み込んだ時を起点として、血中濃度が最大の状態に達するまでの時間のことです。
この概念は、サプリメントを摂取する最適なタイミングを見つける際に非常に重要です。サプリメントによっては、短時間で血漿中濃度がピークに達するものもありますが、時間がかかるものもあります。基本的には、明晰夢を見るときに血中のサプリメント濃度が最高濃度に達していることが望ましいです。
半減期
半減期とは、サプリメントの血漿濃度が半分になるまでの時間です。サプリに含まれる物質が体内にどれだけ長く留まるかを示す指標となります。
人間の体には、薬剤耐性があります。薬剤耐性とは同じサプリメントを繰り返し使うことによって、そのサプリに耐える(抵抗する)力を体が持つことです。その結果、これまでは効いていたサプリが効かなくなってしまい、サプリの量を増やしたり、別のサプリに切り替えたりする必要がでてきます。
耐性の問題を最小限に抑えるためには、明晰夢を見終わったときに、サプリに含まれる物質が体内から排出されていることが理想です。そのため、できるだけ排泄半減期の短いサプリメントを選ぶことが重要です。
薬物相互作用
薬物相互作用とは、ある薬物が他の薬物の代謝、効果、毒性に与える作用と定義されています。それだけを単体で服用した場合には非常に良好な耐性を示すサプリであっても、他のサプリと併用した場合に望ましくない影響が発生することがあります。もちろん、2つの薬が互いにうまく作用して、個別に服用した場合よりも大きな効果が得られることもあります。
明晰夢サプリメントは、組み合わせて服用されることが多いので、良い意味でも悪い意味でも、起こりうる薬物相互作用を知っておくことは重要です。
前述したように、相互作用の中には有益で望ましいものもあります。例えば、アセチルコリン(ACh)の前駆体とアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の阻害剤の組み合わせによる相乗効果は、非常に高い確率で明晰夢を誘発します。
薬剤耐性
サプリメントの中には、様々な神経伝達物質の受容体に耐性をもたらすものがあります。その場合、同じ効果を得るためにはそのサプリメントをより多く摂取する必要がありますが、より多くの量を摂取すると、さらに耐性つき、さらに服用量を増やす必要が出てきます。この負のサイクルを続けていると、最終的には体に有害な副作用が発生する量に達してしまいます。
例えば、就寝前に1杯のコーヒーを飲んだ場合、カフェインの効果が切れるまで数時間は眠れなくなります。カフェインは、アデノシンと呼ばれる化学物質の働きを阻害するはたらきをします。人間は脳内のアデノシン受容体にアデノシンという物質が結合することで疲労を感じますが、カフェインはこの受容体に結合してアデノシンが結合するのを邪魔します。これにより人は疲労を感じにくくなり、眠気が消えるといった現象が起きます。しかし、毎晩寝る前に1杯のコーヒーを飲み続けていると、いつの日にか、それほど苦労せずに眠りにつくことができるようになります。
また、目に見えない耐性というものもあります。例えば、明晰夢を見ることができると信じられているサプリメントを初めて飲んだときには、高い確率で明晰夢を見ることができます。これは、「効果があるだろう」という強い期待があるためです。しかし、毎晩繰り返し摂取し続けると、生理学的には耐性がついておらず効果があったとしても、やがて期待と感情が薄れてきて、サプリメントの効果が失われてしまうというものです。
血液脳関門
血液を通じて脳に入る物質は「血液脳関門」と呼ばれるシステムによって制限されています。この血液脳関門は、血液中の特定の物質だけを脳に入れることができるフィルター(バリア)のようなはたらきです。この血液脳関門を通過できない物質はサプリメントにも多く存在し、脳内に入ることができず、明晰夢には役立ちません。
残念ながら、口から摂取した神経伝達物質のほとんどは、この血液脳関門を通過しません。例えば、セロトニンやドーパミンを口から摂取したとしても、脳内のセロトニンやドーパミンの量には影響を与えないのです。
セロトニンやドパーミンを口から直接摂取しても血液脳関門を超えることができませんが、作用機序というメカニズムによって、サプリメントを使って脳内の神経伝達物質のレベルを高めることができます。次の記事では、前駆体、アゴニスト、アンタゴニスト、再取り込み阻害という4つの作用機序について解説します。