アセチルコリン(Acetylcholine)とは
アセチルコリンは神経伝達物質であることが最初に確立された物質です。1914年にアセチルコリンを発見したヘンリー・ハレット・デールと、アセチルコリンが神経伝達物質であることを証明したオットー・レーヴィは、1936年、共にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。オットー・レーヴィには「神経伝達物質証明の実験方法を夢の中で思いつき、起床後すぐに実験を行い成功させた」というすごい逸話があります。夢で見たことをヒントに、現実社会で素晴らしい功績を残した実例です。
アセチルコリンは、筋肉、記憶、思考、学習への刺激の役割を担い、睡眠のサイクルと感情のコントロールにも重要な役割を果たしています。
脳内で、記憶を形成し、保存し、思い出すはたらきがあるため、アセチルコリンはアルツハイマーや認知症の治療方法確立のために長年研究されています。アセチルコリンの分泌量が増加すると、記憶力や学習能力を高めます。反対にアセチルコリンの分泌量が低下すると、記憶力が低下し、論理的思考能力が落ちます。
筋肉への刺激というはたらきがあるため、アセチルコリンをターゲットにした「筋弛緩を引き起こす危険な毒物」が存在します。例えば、クラーレというアマゾン原住民が毒矢に使う有毒アルカノイドは、アセチルコリン受容体と作用し筋肉麻痺を引き起こします。またオウム真理教の地下鉄サリン事件で使われたサリンは、アセチルコリンの分解を強力に阻害することで、全身の筋肉を麻痺させ呼吸困難を引き起こす猛毒です。
そして脳内のアセチルコリンの分泌量は加齢とともに減少することがわかっています。例えば、アルツハイマーが進行して記憶力がほとんど機能しなくなっている人は、アセチルコリンの分泌量が通常と比べて90%も低下しているということが明らかになっています。歳を取っても頭の回転と記憶を維持するためには、アセチルコリンのレベルを高める栄養素を食事やサプリで摂取する必要があることが、多くの臨床結果にて証明されています。
アセチルコリンと睡眠
私達はノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を1セットにした睡眠サイクルを、一晩に4〜6回繰り返します。アセチルコリンはその睡眠サイクルの移行に重要な役割を果たします。
アセチルコリンは眠りに落ちると分泌量が落ち始め、ノンレム睡眠に移行すると分泌量が最も少なくなります。レム睡眠に移行するにつれてアセチルコリンの分泌量は増え始め、レム睡眠中には起きている状態と同じくらい分泌されています。前回解説したセロトニンとアセチルコリンは眠りのサイクルをコントロールするために相互に協力してはたらいています。
- ノンレム睡眠(深い眠り)のときには、アセチルコリンは少なくなり、セロトニンは多くなる
- レム睡眠(浅い眠り)のときには、アセチルコリンは多くなり、セロトニンは少なくなる
レム睡眠からノンレム睡眠に移行するためには、セロトニンのレベルを上げるだけでなく、アセチルコリンのレベルを下げる必要があります。反対に夢を見るレム睡眠に移行するためには、アセチルコリンのレベルを上げるだけでなく、セロトニンのレベルを下げる必要があります。
睡眠の前半では、脳内のセロトニンのレベルが上がり、アセチルコリンのレベルが下がることで、深い眠りであるノンレム睡眠に入ります。そのため、眠る前にサプリメントを使ってアセチルコリンのレベルを上げてしまうと、脳と体が必要としている深い眠りを阻害してしまいます。そのためサプリメントでアセチルコリンを増やす前に、まず4〜6時間寝たほうが良いと考えられています。
アセチルコリンと明晰夢
アセチルコリンは明晰夢を見るために最も重要な神経伝達物質で、レム睡眠の時間を伸ばすこと、夢を長く鮮明にすること、夢を覚えていられるようにするという3つの役割があります。
そして、アセチルコリンの量とタイミングをコントロールする最大のメリットは、起きている状態から明晰夢を見る状態まで意識を失うことなく到達することができる体外離脱の成功率を飛躍的に高めることです。アセチルコリンの量を増やしてくれるサプリメントは、究極の明晰夢メソッドである「二度寝法」と併用することで、最強の明晰夢サプリメントになります。
明晰夢を発生させるルートには、DILD法とWILD法という2つの方法があります。DILD法(Dream Induced Lucid Dream)は、通常の夢を見ていて「これは夢だ!」と気付き、そこから明晰夢に移行するタイプの明晰夢です。WILD法(Wake Induced Lucid Dream)は、覚醒(起きている)状態から、意識が途切れることなく夢の世界に移行するタイプの明晰夢で、当サイトでは体外離脱・幽体離脱として紹介しています。
体外離脱は「脳の中の意識を司る部分だけを覚醒した状態に保ちながら眠りに入り、起きている状態からそのまま明晰夢の世界に突入する」というテクニックで、瞑想などで脳を特殊な状態に整える必要があるため習得が大変難しく、普通の人は長期間にわたる訓練が必要です。しかしアセチルコリンのレベルを高めるサプリメントは、脳を簡単にこの状態に調整することができるため、体外離脱の習得がものすごく簡単になります。またサプリメントを飲んだあと、寝落ちして体外離脱に失敗してしまっても、アセチルコリンにより夢の中での自己認識力が高まるためDILD法の明晰夢を発生させられる可能性も大幅に上がります。
アセチルコリンのサプリメント
アセチルコリンは記憶の保持や頭の回転に大きな役割を果たしていることから、アセチルコリンに作用するサプリメントは脳の食事や脳の栄養と呼ばれることもあります。
アセチルコリンのサプリメントには、脳内でアセチルコリンを形成する前駆体、 アセチルコリンの働きを模倣するアゴニスト、アセチルコリンの分解酵素を阻害する再取り込み阻害剤の3種類があります。最強の明晰夢サプリと言われているガランタミンは、再取り込み阻害効果があるコリンエステラーゼ阻害薬で、アルツハイマー型認知症の症状が進むのを遅らせる目的で使われています。